歯・歯周組織に大きな負荷がかかりやすい、歯ぎしり・食いしばりの癖。
前月のブログでは、歯ぎしり・食いしばりが習慣化してしまう主な原因のお話をさせていただきました。
今回は、「歯ぎしり・食いしばりが起こし得る7つの悪影響(リスク)」および「歯医者で行う歯ぎしり・食いしばりに対する治療・ケア方法」について、ご説明します。
目次
■歯ぎしり・食いしばりが起こし得る7つの悪影響(リスク)
お口・顎周りへの悪影響
①歯周病が進行しやすくなる
歯ぎしり・食いしばりの癖があると、歯や歯周組織(歯ぐき、顎の骨など)に過剰な負荷がかかりやすいです。
歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、過剰な負荷が原因で歯周組織がダメージを受けやすく、歯周病(過剰な負荷による歯周組織の傷み)が進行することがあります。
②歯根が割れたり折れることがある
歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、過剰な負荷によって歯根が割れたり折れる(歯根破折)ことがあります。
③知覚過敏が起きることがある
歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、上下の歯をこすり合わせることによって歯の表面のエナメル質が削られてしまい、知覚過敏が起きることがあります。
④歯や補綴物がすり減る・割れる・欠けることがある
歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、過剰な負荷によって歯や補綴物(詰め物・被せ物)がすり減る・割れる・欠けることがあります。
⑤顎関節症になることがある
歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、過剰な負荷によって顎の関節に負担がかかり、顎関節症になることがあります。
全身への悪影響
⑥頭痛・肩こりが起きることがある
歯ぎしり・食いしばりの癖があると、顎関節を通じて頭部のこめかみなどの頭蓋骨の周辺の筋肉が緊張してしまい、頭痛が起きることがあります。
歯ぎしり・食いしばりの癖が原因で顎関節周りの筋肉・骨が緊張し、緊張が首を伝って肩こりをひき起こすことも。
⑦首や背中、腰の痛みがひき起こされることがある
歯ぎしり・食いしばりの癖があると、顎関節→首→背中→腰→足というように、顎関節の筋肉・骨格バランスの乱れが波及し、全身の筋肉・骨格のバランスが乱れてしまうケースも。
上記のメカニズムにより、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は全身の筋肉・骨格のバランスが乱れてしまい、首や背中、腰の痛みがひき起こされることがあります。
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歯ぎしり・食いしばりの癖が起こし得る7つの悪影響(リスク)。ご自身に当てはまる症状はありましたでしょうか?
次の項では、歯科医院で行う、歯ぎしり・食いしばりに対する治療・ケア方法をご紹介します。
■歯医者で行う、歯ぎしり・食いしばりに対する治療・ケア方法
◎歯科医院で行う治療は「①歯ぎしり・食いしばりの癖を直すための」治療と「②歯・歯周組織への負荷を緩和する」ケアに分けられます
歯科医院では、主に以下の①②の2種類のアプローチにより、歯ぎしり・食いしばりの癖に対する治療・ケアを行います。
※歯科医院によって対応方法が異なります。
①歯ぎしり・食いしばりの癖を直すための治療
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MFT(口腔筋機能療法:お口周りの筋トレ)
お口周りの筋トレを通じ、正しいお口の使い方を身につけることで歯ぎしり・食いしばりの癖の改善にアプローチします。
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歯科矯正(マウスピース矯正、ワイヤー矯正、小児矯正(咬合誘導))
歯並び・噛み合わせの乱れが原因で歯ぎしり・食いしばりが習慣化している場合は、歯科矯正が第一の治療の選択肢になります。
歯科矯正によって歯並び・噛み合わせを整えることで、歯ぎしり・食いしばりの癖の改善にアプローチすることが可能です。
8歳頃までの小さなお子様が歯ぎしり・食いしばりをしている場合は、小児矯正の「咬合誘導(装置の装着やお口の筋トレなど)」で癖の改善にアプローチできます。
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咬合調整
噛み合わせの乱れが原因で歯ぎしり・食いしばりが習慣化している場合は、咬合調整を行うケースも。咬合調整により、噛み合わせ面の歯のエナメル質を少しだけ削ることで、噛み合わせの乱れの改善にアプローチします。
②歯・歯周組織への負荷を緩和するケア方法
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マウスピース(ナイトガードなど)
患者様に合ったマウスピースを作製し、装着していただくケア方法です。主に就寝中などにマウスピースを装着することで、歯・歯周組織や顎関節にかかる過剰な負荷を緩和します。
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ボトックス注射
咬筋などの筋肉に、筋弛緩作用があるボトックス注射を打つ方法です。ボトックス注射によって顎周りの筋肉の緊張をゆるめることで、歯・歯周組織や顎関節にかかる過剰な負荷を緩和します。
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クリニカルマッサージ
国家資格を持つ歯科衛生士によるマッサージです。顎関節周辺のマッサージを行い、顎周りの緊張をゆるめることで、歯・歯周組織や顎関節にかかる過剰な負荷を緩和します。
【歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、まずは、歯科医院を受診することをおすすめします】
歯ぎしり・食いしばりの癖は精神的なストレスが原因の場合も多いです。精神的なストレスに対しては、精神科・心療内科での治療が必要になるケースも。
精神科・心療内科での治療が必要なケースも含め、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、まずは、歯科医院を受診することをおすすめします。
歯科医院を受診することで、歯ぎしり・食いしばりの癖が歯や顎関節(お口周り)が原因なのか、または、お口周り以外の因子(ストレスなど)が原因なのかの問題分けをしやすくなります。
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当院では、歯ぎしり・食いしばりの方に対する治療・ケアを行っています。
歯ぎしり・食いしばりの癖でお困りの方は、まずは当院までお気軽にご相談ください。
診察では歯科医師がお口周りの状態を確認し、歯ぎしり・食いしばりの癖の原因を探ります。診査の結果、歯ぎしり・食いしばりの癖がお口周りにあると考えられる場合は、お一人おひとりの状態に応じた適切な治療・ケアをご提案させていただきます。