院長はインプラントを埋入しました。今回は副鼻腔(上顎洞)までの距離が短く、そのままでは望ましい長さのインプラントを埋入でき無い状態でした。つまり、鼻からの空洞にドリルが突き抜けてしまうか、またはとても短いインプラント(寿命も短い)を埋入するしかない状況でした。
本症例では、ソケットリフト(インプラントのための小さな穴から副鼻腔粘膜を持ち上げる手法)かサイナスリフト(歯の根元あたりの骨を開けて副鼻腔粘膜を持ち上げる手法)の両方が検討されましたが、ソケットリフトで十分に安全に挙上できると判断しました。
レントゲンの青い矢印がインプラント、赤いところが本来の副鼻腔の下の線(そこより上は空洞)、黄色いところまで副鼻腔を持ち上げた様子がわかると思います。
副鼻腔を持ち上げる道具としては従来法のトントン叩くやり方もありますが、当院では叩かない低侵襲なやり方も採用しており、今回はその手技で行うことができました。
なお、副鼻腔粘膜の弾力性は個人差があり、地方より都心在住の方が空気が悪いので粘膜が厚く破れにくいようです。今回も、術後CTにより粘膜を破らずに骨材を入れて挙上できている様子が確認できてよかったです。(左側の黄色で囲んだ部分が骨材)
インプラントの種類はストローマン社(スイス)のSLActive Bone Levelでした。初期固定に不安があったので食い込みやすい形状も用意していましたが、幸い良好な初期固定が得られたため、より審美的なインプラントを選択できました。