皆さん、こんにちは。歯科医師の岩切です。
突然ですがジュースを飲むとよく歯が溶けるといいますよね。
正確には歯が溶けるわけではなく、口内のpHが酸性に傾く時間が長いと、歯が溶けるというのが正確です。
pHというのは、液体が酸性かアルカリ性かを示す数値です。pHの値が大きいとアルカリ性、値が小さいと酸性が強くなります。例えばpH1は塩酸や硫酸で、ものを溶かす性質を持っています。 ジュース類のほとんどが酸性であり、コーラはpH2.2、スポーツ飲料はpH3.8くらいとされています。数値で見ると、ものを溶かす性質を持っています。
口内は平常時、pH7の中性に保たれています。ジュース類自体が持つ酸や、むし歯菌が飲食物に含まれる糖を分解して作り出す酸によって、口内のpHが低くなります。
そうすると、歯の表面のエナメル質からリンやカルシウムが溶け出します。この現象を「脱灰」と呼びます。 その後、唾液が食後30分~1時間かけて口内のpHの値を中性に戻していきます。そうすると、溶けだしたリンやカルシウムが歯に戻ります。
これを「再石灰化」と呼びます。 この2つのバランスが口内では保たれています。ですから、ジュース類を飲んで、口内のpHが酸性に傾く「脱灰」の時間が長いと、むし歯になるのです。
ジュース類のpHではなく、口内のpHが重要なのですね。