「歯医者さんは、歯が痛くなったら、行けばイイかな」
「まだ、歯が痛くないから大丈夫だよ」
「でも…歯が痛くなってから歯医者に行くと、治療が長引きやすいんだよね…」
歯医者さん、と聞くと、「歯が痛くなったら行くところ」というイメージをされる方が時折、いらっしゃいます。特に、日本においては、20年以上前（2000年頃）は、多くの方がそのようなイメージを持っていたかと思います。
現在は、日本人全体の歯に対する健康意識の変化により、歯科医院で定期検診を受ける方が増えてきました。2022年の厚生労働省の調査では、歯科医院で定期検診を受けている方の割合は58%に上っています（※）。
（※）厚生労働省歯科疾患実態調査（令和4年）より引用。
（半年に1回以上、歯科医院で定期検診を受けた方の割合）
今回は、「なぜ、定期検診が重要なのか」および「お口の病気を未然に防ぐことの意味」についてのお話です。
目次
■定期検診の重要性
歯の健康を保ち、むし歯・歯周病をはじめとするお口の病気を未然に防ぐためには、以下の2点が欠かせません。
1．ご自身で行う、毎日のセルフケア（歯みがき＋歯間清掃）
2．歯科医院の定期検診
毎日のセルフケアに加え、3～4ヶ月に1回のペースで歯科医院での定期検診を受けることで、歯の健康を保ちやすくなります（※）。
（※）患者様やお口の状態により、推奨される定期検診のペースが異なります。
◎定期的に口腔内の状態を確認することで、お口の病気や異常の早期発見・早期治療につながります
歯科医院の定期検診では、歯科医師が患者様の口腔内の状態を確認します。定期的に口腔内の状態を確認することで、むし歯・歯周病をはじめとするお口の病気や異常の早期発見・早期治療につながります。
◎セルフケアでは落とし切れない歯垢・汚れ・歯石を除去します
歯科医師による口腔内の確認に加え、定期検診では、歯科衛生士が歯のクリーニングを行います。
国家資格を持つ歯科衛生士が行う歯のクリーニングにより、セルフケアでは落とし切れない歯垢・汚れ・歯石を除去します。
セルフケアでは落とし切れない歯垢・汚れ・歯石を除去することで、お口の中の細菌によって生じるむし歯・歯周病の進行リスクを低減できます。
■お口の病気を未然に防ぐことの意味
◎「痛くなってから」「症状が現れてから」では遅いです
以前と比べて少なくなりましたが、「歯医者さんは、歯が痛くなってから行くところ」と考える方もいらっしゃいます。しかし、歯が痛くなってから、お口に何らかの症状が現れてから歯科医院の行くのでは、手遅れになることも。
歯・歯周組織に痛みや症状がでている場合は、すでに、むし歯・歯周病などのお口の病気や異常が起きていることが多いです。すでに病気や異常が生じているため、早期に治療を始めたとしても、ダメージを受けた状態での治療開始となります。
進行した重度のむし歯・歯周病など、歯・歯周組織のダメージの状態によっては、治療が大がかりになり、治療期間も長くなります。治療が大がかりになり、治療期間が長くなるほど、比例して治療費も大きくなります。また、抜髄・手術など、大がかりな治療になるにつれ、治療中・治療後に感じる痛み・症状が増す可能性も。
◎早期発見・早期治療の「その前」の段階で、お口の病気や異常を未然に防ぐことが大切
ベストな状況は、むし歯や歯周病などの異常を未然に防ぐこと。
歯が痛くなってから・症状が現れてからではなく、「その前」の段階で、むし歯・歯周病などのお口の病気や異常を防ぐことが重要になります。
歯・歯周組織の痛みや症状が無くても、何の異常が起きていなくても、日頃から歯科医院の定期検診に通うことが大切です。
≪歯の健康を守るための習慣≫
1位 ベスト ：痛みなどの症状が無くても、日頃から歯科医院で定期検診を受ける
2位 ：歯が痛くなったら、歯科医院に行く
3位 ：歯が痛くても歯科医院に行かず、放置する
歯・歯周組織の健康を保つためには、毎日の歯みがき＋歯間清掃（セルフケア）をしっかり行うと共に、歯科医院での定期検診（プロケア）が欠かせません。
セルフケア＋定期検診により、むし歯・歯周病が重症化する前の段階でお口の病気や異常を未然に防ぐ効果を高められます。
【毎日のセルフケア＋定期検診でお口の健康を守りましょう】
歯はかけがえのない、宝物です。
健康で丈夫な歯があれば、弾力のあるお肉やお魚、繊維質の野菜もしっかり噛んでお食事を楽しめます。さまざまな食材をバランス良く摂取することで栄養面が改善し、全身の健康が向上する効果も。丈夫な歯は、人生の質（Quality of Life：QOL）に大きく関係します。
大切な歯を残すため、毎日のセルフケアをきちんと行うと共に、歯科医院で定期検診を受け、お口の健康を守りましょう。
