「食後や寝る前に歯を磨いているのに、しょっちゅう、むし歯になる…」
皆様には、上記のような、「歯を磨いているのにむし歯になる」ご経験はありませんでしょうか?
歯を磨いているのにむし歯になりやすい方は、ふだんの生活で「歯に悪い食べ物(食べ物・飲み物)」を摂取しているかもしれません(※)。
(※)飲食物のほか、適切ではない方法による
歯みがきがむし歯の原因になる場合もあります。
目次
■歯に悪い食べ物
以下のような飲食物は、むし歯・酸蝕歯(さんしょくし)などのお口の病気・異常を進行させやすいです。
◎砂糖や液糖などの糖分が含まれた物
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砂糖や液糖を含むお菓子・ジュース(果汁が入ったジュースも含みます)・炭酸飲料・スポーツドリンク・調味料など
むし歯菌は糖分を「えさ」にして活動しています。上記のような砂糖や液糖などの糖分が含まれた飲食物はむし歯菌を活発化させ、むし歯を起こす&むし歯が進行する原因になります。
≪対策方法≫
砂糖や液糖などの糖分が含まれた飲食物はできるだけ控えましょう。
糖分の摂り過ぎを防ぐためには、料理に使う砂糖の量を把握する、パッケージを見て商品の成分を確かめるなど、普段の生活で摂取する砂糖の量に注意することが大切です。
WHOでは、歯・健康を守るための砂糖の摂取量の上限の目安を1日につき「15~20g以内」としています(※)。
(※)WHO「成人及び児童の糖類摂取量」(2015年)より引用。
◎柑橘類や炭酸飲料などの酸度の高い物
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レモン・オレンジ・みかん・グレープフルーツなどの果物
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柑橘類の果汁が入ったジュース
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炭酸飲料
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酢(酢が入ったドレッシングなどの調味料も含みます)
柑橘類や炭酸飲料、酢は酸度が高く、歯の脱灰(だっかい:酸によって歯が溶けること)を起こしやすいです。
歯の脱灰が重度に進行した場合、歯の表面のエナメル質が溶けて酸蝕歯(さんしょくし)になるケースも。酸蝕歯になると歯の内部の象牙質がむき出しになり、冷たい・熱い物、甘い物や風がふれたときに歯がしみる・痛みを感じるようになります。
≪対策方法≫
柑橘類や炭酸飲料などの酸度の高い物はあまり摂り過ぎないようにしましょう。
摂り過ぎないようにすると共に、酸度の高い飲食物を摂取したときは、食後にお口をゆすぐことで歯への影響を多少、減らせます。
なお、酸度の高い飲食物を摂取した後は、酸の影響で歯のエナメル質がやわらかくなっているため、飲食後すぐに歯みがきをするのはよくありません。酸度の高い飲食物を摂取した後は30分ほど時間を置いて、歯を磨きましょう。
ジュース・炭酸飲料を飲むときはストローを使いましょう
ジュース・炭酸飲料を飲むときはストローを使うのもひとつの手です。ストローで飲み、できるだけ液体が歯にふれないようにすることで酸や糖分による歯への影響を多少、減らせます。
■歯に良い食べ物
以下のような食べ物を摂取することで、歯質を強化する作用を期待できます。
◎歯質を強化する食べ物(飲食物)
①カルシウム
[カルシウムを多く含む物]
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乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)
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大豆(豆腐、納豆など)
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魚介類(小魚、干しえびなど)
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海藻類(ひじき、ワカメなど)
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野菜・根菜類(小松菜、チンゲン菜、大根など)
歯のエナメル質、および、歯槽骨(歯が植わっている顎の骨)を硬く、強くします。
②たんぱく質
[たんぱく質を多く含む物]
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卵
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肉類(鳥・豚・牛など)
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魚介類
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大豆
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牛乳
歯の象牙質を作る素になります。歯ぐきを丈夫にする働きも。
③リン
[リンを多く含む物]
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米
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肉類(豚・牛など)
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海藻類(海苔、ワカメなど)
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卵
歯のエナメル質・象牙質の石灰化を促進し、歯を硬く、強くします。
④ビタミンA
[ビタミンAを多く含む物]
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肉類(豚、レバーなど)
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海藻類(海苔、ワカメなど)
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果菜類(かぼちゃなど)
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魚介類(うなぎなど)
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野菜類(ほうれん草など)
歯のエナメル質を強化します。
⑤ビタミンC
[ビタミンCを多く含む物]
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野菜類(ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなど)
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柑橘系を含む果物類(レモン、みかん、いちご、キウイフルーツなど)
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根菜類(さつまいも、じゃがいもなど)
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海藻類(焼き海苔など)
歯の象牙質を強化し、象牙質の形成を支えます。
⑥ビタミンD
[ビタミンDを多く含む物]
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卵黄
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乳製品(牛乳、バターなど)
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キノコ類(シイタケ(特に干しシイタケ)、しめじなど)
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魚介類(鮭、サンマなど)
カルシウムの吸収を促進し、歯の再石灰化作用を調整します。
【砂糖や液糖をできるだけ控え、普段の生活に「歯に良い食べ物」を採り入れましょう】
むし歯の発症・進行を抑えるためには、砂糖や液糖の摂取をできるだけ控えることが大切です。
糖分の摂取を控えると共に、普段の生活に「歯に良い食べ物」を取り入れることで歯質を強化しやすくなります。