「イタッ… 冷たい物がふれるとむし歯が痛む…」
「むし歯が痛んで眠れない…」
むし歯になり、上記のようなご経験をされた方もいらっしゃるかと思います。
進行すると、歯のしみ・歯の痛みを感じやすくなる、むし歯。
以前、当院のブログでは、C3以上のむし歯で行われる「根管治療(こんかんちりょう)」のお話をさせていただきました。
今回は、むし歯が進行するとどのような状態になるのか、治療方法など、進行度別にむし歯の状態をご説明します。
目次
■CO 歯の表面のエナメル質がわずかに溶けた状態(脱灰)
◎歯のしみ・歯の痛みは感じないことが多いです
CO(シーオー)は初期段階のむし歯に分類されます。
[歯の状態]
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歯の表面のエナメル質がわずかに溶けた状態(脱灰:だっかい)
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脱灰部分が白っぽく見えることもあるが、肉眼では気づきにくい
[主な症状]
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歯のしみ・歯の痛みは感じないことが多く、ご自身では気づきにくい
≪治療方法≫
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歯科医院での処置・治療は行わず、毎日のセルフケア(歯みがき+歯間清掃)を継続して歯の再石灰化をうながす
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フッ素塗布で歯の再石灰化をうながす(未成年の患者様orご希望の場合)
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セルフケアの際にフッ素入りの歯磨き粉・マウスウォッシュを使用し、歯の再石灰化をうながす
■C1 歯のエナメル質に穴が開いた状態
◎歯の表面に茶色・黒い穴が開き、歯のしみ・歯の痛みを感じることがあります
C1は歯のエナメル質に穴が開いた状態です。
[歯の状態]
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歯の表面のエナメル質に茶色・黒い穴が開く
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歯の噛み合わせ面の溝が茶色・黒色のスジになって変色する(噛み合わせ面のむし歯の場合)
[主な症状]
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冷たい物や風がふれたときに歯がしみたり歯が痛むことがある
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歯のしみ・歯の痛みはそれほど強くない(我慢できる程度の歯のしみ・歯の痛み)
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歯のしみ・歯の痛みを感じず、ご自身では気づきにくいことも
≪治療方法≫
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歯を削り、削った箇所にレジン(白いペースト状の詰め物)を充填する
(歯の表面のエナメル質のむし歯のため、C1のむし歯治療で歯を削る際は麻酔は使わないことが多いです)
■C2 歯の象牙質に穴が開いた状態
◎エナメル質の内側にある象牙質に黒い穴が開き、歯のしみ・歯の痛みを感じることが多いです
C2はエナメル質の内側にある歯の象牙質に穴が開いた状態です。
[歯の状態]
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歯の象牙質に黒い穴が開く
[主な症状]
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冷たい物や風がふれたときに歯がしみたり歯が痛むことが多い
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食べ物を噛んだときに歯が痛むことがある
≪治療方法≫
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麻酔をして歯を削り、削った箇所に銀歯・セラミックなどの詰め物を詰める
■C3 歯の神経(歯髄)にむし歯が到達した状態
◎熱い物がふれると歯がしみたり歯が痛むようになり、眠れないほど歯が強く痛む場合も
C3は歯の中央部にある歯の神経(歯髄:しずい)にむし歯が到達した状態です。
[歯の状態]
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歯の象牙質に大きな黒い穴が開くことが多い
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小さな黒い穴が開き、歯の中で穴が大きく広がっているケースも
[主な症状]
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冷たい物や風だけではなく、熱い物や香辛料(辛い物など)がふれたときに歯がしみたり歯が強く痛むようになる
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食べ物を噛んだときに歯が強く痛む
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何もしていない安静時にも歯が強く痛む(眠れないほど歯が強く痛むこともある)
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むし歯の側の頬が腫れることがある
≪治療方法≫
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麻酔をして歯を削り、歯の神経を抜く(抜髄:ばつずい)
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抜髄後、根管治療を行い、歯の根っこをお掃除する
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最後に銀歯・セラミックなどの被せ物をかぶせる
■C4 歯の神経が死に、歯冠がボロボロに崩れ落ちた状態
◎歯の神経が死んでいるため、歯のしみ・歯の痛みを感じなくなります
C4はむし歯菌に侵されて歯の神経が死に、歯ぐきから上の歯の部分である歯冠(しかん)がボロボロに崩れ落ちた状態です。
[歯の状態]
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むし歯菌に侵され、歯の神経が死んだ状態
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歯ぐきからの上の歯冠がボロボロに崩れ落ち、歯根のみが残った状態(歯冠が崩れ落ちているため、一見すると歯が無いように見えることも)
[主な症状]
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歯の神経が死んでいるため、歯のしみ・歯の痛みを感じなくなる(「むし歯が治った」と勘違いしてしまうケースも)
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根尖性歯周炎や歯根嚢胞など、歯の根の先が細菌感染・炎症を起こし、歯ぐきや顎の骨が痛むことがある
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顎骨骨髄炎をひき起こし、顎の骨が強く痛んだり、顎の骨が溶けて顔の形が変わることがある
≪治療方法≫
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根管治療を行い、歯の根っこをお掃除する
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歯根を残せる可能性がある場合は、根管治療後に差し歯の被せ物をする
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歯根を残せない場合は抜歯
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抜歯後、インプラント・ブリッジ・入れ歯などの補綴治療で失った箇所の歯を補う
【むし歯は早期発見・早期治療が重要です】
むし歯は早期発見・早期治療が重要です。
むし歯が重度に進行することを防ぎ、大切な歯を残すために、
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歯が茶色・黒色に変色している
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歯のしみ・歯の痛みがある
など、気になる症状があるときはできるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。
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今回は、「進行度別 むし歯の状態」のお話をさせていただきました。
9月前半に更新予定のブログでは、「保険・自費 むし歯治療の内容の違い」について、ご説明します。