
年齢に個人差はありますが、一般的には20歳前後以降に生えてくることが多い、親知らず。
先月のブログでは、「抜いた方が良い親知らず・抜かない親知らずの違い」について、ご説明をさせていただきました。
今回は、「抜いた方が良い親知らずを抜かないデメリット」のお話です。
目次
■抜いた方が良いとされる親知らずとは?
◎むし歯をくり返しているなど、問題が起きているor将来、問題を起こす可能性がある親知らずは抜いた方が良いとされています
先月のブログのおさらいになりますが、以下ような親知らずが、抜いた方が良いとされる親知らずです。
[抜いた方が良いとされる親知らず]
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歯ブラシが届きにくく、親知らずor親知らずの一つ前の奥歯がむし歯をくり返している
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斜め・横向きに生えている親知らず
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歯の一部が顔を出しており、歯ぐき・顎の骨に中に残りの歯の部分が埋まっている親知らず(半埋伏智歯)
抜いた方が良いとされる親知らずをご認識いただいた上で、次の項では、「抜いた方が良い親知らずを抜かずに放置した場合のデメリット」について、ご説明します。
■抜いた方が良い親知らずを抜かずに放置した場合のデメリット
1.親知らずor親知らずの一つ前の奥歯のむし歯・歯周病が進行しやすくなる
{顎の骨が溶ける、顔の外まで通じる膿の穴ができることも}
歯ブラシが届きにくく、むし歯をくり返している親知らずは、治療をしても再度、むし歯になるケースが少なくありません。また、親知らずが斜めに生えており一つ前の奥歯にふれている場合、親知らずと一つ前の奥歯との接触面がむし歯にかかりやすくなります。
清掃性が悪い親知らずを抜かずに放置していると、ご自身では気づかないうちに親知らずのむし歯or親知らずの一つ前のむし歯が重度に進行する場合も。
むし歯が重度に進行した場合、歯の神経を取り除く処置(抜髄・根管治療)が必要になることもあります。さらに重度にむし歯が進行したケースでは、
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顎の骨の炎症
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顎の骨の骨髄炎(顎の骨が溶け、顔の形が変化してしまうことも)
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外歯瘻(がいしろう:歯の根に達したむし歯菌などの細菌が組織を溶かし、顔の外まで通じる穴ができる疾患)
などの重い症状をひき起こす場合も。
{妊娠のご予定がある方は、妊娠中の親知らずのむし歯に要注意}
親知らずのむし歯が重度に進行した場合、妊娠中には親知らずの抜歯を行えないことがあります。
妊娠中、親知らずの抜歯を行えないことがあるのは、
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麻酔液の使用
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歯根膜からの歯の脱臼
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歯ぐきの切開
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抜歯後に処方する抗生剤(抗生物質)の内服
など、抜歯による刺激・抜歯後に用いるお薬がお母さん&生まれてくる赤ちゃんに影響をおよぼす可能性があるためです。
妊娠中の場合は、親知らずのむし歯が痛んでも、痛み止めで痛みを抑える、などの処置しか行えない場合も。
妊娠のご予定がある方は、妊娠前に歯科医院を受診し、親知らずを抜歯するかどうかを検討することをおすすめします。
{歯周病菌の増殖によって親知らずの歯ぐき・顎の骨がダメージを受け、歯周病が進行する場合も}
むし歯のほか、清掃性が悪い親知らずは歯周ポケット内で歯周病菌が増殖しやすいです。歯周病菌の増殖により歯ぐき・顎の骨などの歯周組織がダメージを受け、歯周病が進行することもあります。
2.親知らずor親知らずの一つ前の奥歯のむし歯・歯周病が原因で口臭が生じることがある
1.でお伝えした理由により、親知らずor親知らずの一つ前の奥歯がむし歯・歯周病になると、口臭が生じることも。
口腔内で繁殖したむし歯菌・歯周病菌などの細菌や、むし歯・歯周病が原因で歯質・歯周組織が腐敗し、口臭が生じる場合があるのです。
口臭がひどくなり、歯科医院で診察を受けたところ、親知らずor親知らずの一つ前のむし歯・歯周病が口臭の原因だった…というケースも。
3.全体の歯並び・噛み合わせが乱れることがある
斜め・横向きに生えている親知らずは、一つ前の奥歯を押すことがあります。
斜め・横向きに生えている親知らず(8番)が原因で一つ前の奥歯(7番)が押されると、一つ前の奥歯(7番)がさらに一つ前の奥歯(6番)を押す…という形でドミノ倒し的な力がかかりやすいのです。
ドミノ倒し的な力がかかり続けた結果、斜め・横向きに生えている親知らずが原因で全体の歯並び・噛み合わせが乱れるケースもあります。
【親知らずでお悩みの方はお気軽にご相談ください】
今回は、「抜いた方が良いとされる親知らずを抜かないデメリット」のお話をさせていただきました。
親知らずの抜歯は必須ではありません。必須ではありませんが、今回お伝えしたように、抜いた方が良いとされる親知らずを抜かない場合、デメリットが生じることがあります。
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親知らずor親知らずの一つ前の奥歯がむし歯をくり返している
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親知らずが斜め・横向きに生えている
など、親知らずでお悩みの方は、まずは一度、お気軽にご相談ください。
診察では、歯科医師が親知らずを含めた口腔内の状態を確認・検査します。
口腔内の状態を精査した上で、親知らずを抜いた方が良いのかor親知らずを抜かずに残すのかについて、ご提案をさせていただきます。
